
私は、研究者の卵であるPhD課程(修士+博士課程)の夫についていく形でアメリカに移住し、早くも3年が経ちました。
アメリカの非常に高額な家賃や保険料、医療費、保育料などに、幾度となく打ちのめされてきましたが、なす術もなく、自費でお支払いしてきました...。
一方で、アメリカに在住しているこの3年間、企業から派遣された多くの駐在員の方々と知り合い、その待遇の違いに驚き、羨ましくなったこともあります。
研究者は、当たり前なのですが、生きていく上でかかる費用を、基本的に全て自費で支払う必要があります。
●家の契約金や家賃は全額自費。
(駐在員の方は家が決められていて契約不要なことも。家賃は基本全額会社が負担。)
●家族の健康保険が自費。我が家の場合、夫がPhD課程の時は、私(妻)・子供の保険料は自己負担(年150万)、ポスドクになってからは、交渉して家族の保険料を大学に出してもらっています。
(駐在員の方は基本会社負担。)
●引越し代は自費。assistant professor以上になれば出してもらえると思います。
(駐在員の方は引越し代が出るので、子供のオムツ1年分を日本から持ってきた人も。)
●車の購入は自費。アメリカだと車がいらない街が少なく、多くの場合必要不可欠です。
(駐在の方は車1台支給のことも。)
●子供の保育料・学校の授業料は当たり前ですが自費。
(駐在員の方は保育料やシッター代が会社から支給されることも。)
●日本への一時帰国代は自費。
(駐在員の方は1年に1回など、決められた回数・費用の範囲内で、会社負担。)
※ここでは、"駐在員の方"とひとくくりにしてしまいましたが、私が出会った複数の駐在員の方々(会社は様々)から伺ったことをまとめて書いているので、駐在員の方が上記全ての特権を受けている訳ではないです。
研究者は自分の意思により海外に行き、駐在員は会社に所属していて自分の意思かどうかは関係なく(本人が希望していた場合も多いと思いますが)海外に行くという点で、全く異なるために、駐在員の人には会社が様々な経済的補助を設けているのだと思います。
私が出会った駐在員の方は、夫がアメリカ転勤となったため、自分(妻)が仕事を一旦中断したり(配偶者が海外赴任した場合に休職できる制度を使用、または会社を退職)、子供が複数いるが幼稚園に空きがなく入れず、24時間の育児に疲弊している、小学生の子供が新しい学校に全然馴染めない、日本にいる親の介護の心配など、様々なことを抱えて、新たな環境での暮らしを試行錯誤していらっしゃいます。経済的な補助はあったとしても、家族を連れての海外駐在は、かなり負担の大きいことだと思います。
一方、研究者は個人事業の社長のようなもので、お給料の交渉を自分でしたり、fellowship(奨学金)に応募したりと、必要なお金を自分で持ってくる努力をしなければなりません。そしてお給料を上げるためには、研究実績を上げること(論文を執筆すること)という唯一の方法しかなく、シンプルですが厳しい世界だな、と私は常々思っています。